道産ワインと食のペアリング企画シリーズ

 北海道のワイナリーはいまや50以上となり、さらに増え続けています。あたらしい日本ワインの生産地として注目されている北海道のワインと、それに合う道産食材を5回シリーズでご紹介していきます。地域食材とのペアリングを通して、発展目覚ましい道産ワインを体感してみませんか?

シリーズ IV

五感を通じて感動を届ける
~NIKI Hills Winery編~

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 NIKI Hills Wineryの歴史は2014年、広告代理店・DACグループの石川和則代表が社員研修所の建設地探しで仁木町を訪れたことに始まります。

ワイナリーのスタート

 水はけの良い土壌、寒暖差の大きい気候など、ワインづくりに適した仁木町の可能性に触発された石川代表は、たんに研修施設を作るだけではなく、ワインづくりを通じて新しい観光事業を生み出し、人を呼び、地域を元気にする取り組みを行うことを決意、すぐに会社を設立しました。
 日本海を一望する小高い丘の斜面に広がる荒れ野をぶどう畑として再生すべく、石川代表は自ら鍬を入れて自社ぶどう畑を整備するとともに、近隣のぶどう農家と栽培契約を交わして会社設立の翌年の2015年には早くも自社醸造を開始します。2019年には約28ヘクタールの広大な敷地にワイン醸造所やブドウ畑、ハーブや宿根草などの庭園、宿泊施設、レストランを兼ね備える総合的なワイナリーとしてグランドオープンを果たしました。
 豊かな自然環境とそれに調和したヴィンヤードとガーデン、美しく交差する森とそれらのすべて(テロワール)を体現するようなワイン。「五感を通じて本当の自分に還れる、感動と癒しの空間」を実現すべくNIKI Hills Wineryは日々、歩みを進めています。

醸造家 ウィズリントン真理子さんに聞く

 NIKI Hills Wineryが目指す「世界に通用する」ワインとは、造られたその土地を表現しているようなワイン。その醸造を司るウィズリントン真理子さんに、仁木らしさを表現するワイン造りについてお話しを伺いました。

  • —-NIKI Hills Wineryにいらした経緯は?

 ニュージーランドの北東部にあるタウランガ(Tauranga)という町で生まれ育ちました。リゾートとして有名ですが、農業が盛んで、食文化も豊かな地域で、子供のころから家族(両親と3人姉妹)でよく地域のお祭りに出かけて、地産の美味しいものをたくさん食べて、ワインを味見したり(内緒)とワインが身近な存在でした。 オークランド大学で生物と化学を学び、「美味しいワインを作り、そして美味しいワインを飲みたい!」という動機から、大学卒業後の7年間、ニュージーランドのワイナリーでぶどう栽培と醸造の両方、携わりました。そして、世界のワイナリーを体験してみようと考えて、フランス、イタリア、アメリカでのワイン修行をして回りました。そのなかで、日本の北海道という地域が地球温暖化の影響もあって、今、ワイン造りの有望なエリアになっているという話を聞き、香港のワインジャーナルに勤める友人の紹介で、2019年にこちらに移り住みました。
 NIKI Hills Wineryではケルナーやバッカス、ツヴァイゲルトレーベなど私が得意とする欧州品種をメインにしていたのも、そして仁木は食べ物が豊かで美味しいのも、私にとってとても良かったです。

—- 目指すワインの特徴を教えてください

 2メートルを超える積雪のなかでワイン造りをしているのは世界でも北海道だけではないでしょうか。夏と冬の寒暖差が大きいのはもちろん、さらに仁木は夏場の昼夜の寒暖差も大きいことから、ぶどうが代謝を抑えて糖分(甘さ)と酸味の双方を貯めこむことになります。また、吹き上げてくる海風、5分ごとに変化する仁木の気候もぶどうを強くするように作用して、できるぶどうの味わいに繊細な特徴をもたらしています。

 そうした仁木のぶどうの特徴を活かして、私は香りと重さのそれぞれのバランスが良いワインづくりを心掛けています。「バランスが良い」とは、香りが無いのはもちろんダメだけど香り過ぎてもまたダメ、ぶどうが元々持っている花と果物とスパイスの良い香りを引き出す、つまりテロワールがうまく反映されている状態、となるように心がけています。渋くないし苦くないけどスパイス感が漂う、酸っぱ過ぎないけど柔らかな酸味が残る、甘くはないけどほのかな甘みを感じる、樽の味や香りが出過ぎないように、軽すぎず重すぎず、など。。。なかなか表現するのが難しいですけど(笑) 。

 2019年からこちらでワイン造りに関わり、NIKI Hills Wineryのレシピを基本に私の考えを徐々に取り入れてきましたが、少しずつ私の理想のワインに近づいていると感じています。そして、今年の秋からはいよいよ真理子レシピで醸造します。

関わるみなさんの期待に応えられる美味しいワインを造り、そして私も美味しく飲めるように頑張ります!

NIKI Hills Wineryのワインのご紹介

HATSUYUKI 2020
NEIRO 2020

2015年のファーストヴィンテージから作り続けているNIKI Hillsのフラッグシップワイン。北海道を代表するワインブドウ品種、ケルナー100%のワインです。ケルナーらしいフルーティーで華やかな香りを最大限に引き出しながら、北海道らしいキリっとした酸をお楽しみいただけます。

香りの印象を生かすために若干の糖を残したセミドライ仕上げ。ぶどうはドイツ品種のバッカスを用い、華やかで南国のフルーツを思わせる香りが感じられ、少し甘さも感じられますが飲み口はすっきろとしています。

内容量750ml
アルコール度数12.5度
販売価格5,500円(税込)
内容量750ml
アルコール度数12.5度
販売価格3,300円(税込)

シリーズ特別販売品

シリーズ特別オンラインセミナーへご招待

 第4回目の今回も、広く皆様に、ワインクラスター北海道の代表である阿部シニアソムリエがご案内するオンラインセミナーのご視聴をプレゼントいたします。

ワイン造りに適した地として見出された仁木町のNIKI Hills Wineryが醸造に迎えたのは、ニューワールドワインの旗手として名高いニュージーランド出身、同国での栽培と醸造を手始めにフランス・イタリア・アメリカで修業したウィズリントン真理子氏。同ワイナリーのワインは近年着実に評価を上げつつあります。阿部氏の水先案内のもと、ウィズリントン氏からNIKI Hills Wineryの魅力を余すことなく引き出すとともに、北海道の食材を知り尽くし、道産ワインとのペアリングに取り組んできたBistro酒場ルポの風間匠シェフが、氏の手掛けるワインと道産食材とのペアリングをご紹介するオンラインセミナーを開催いたします。ご自宅でワインを傾けながら、ぜひご参加ください。

【開催URL】
お詫び:
開催当日に生じた会場インフラのトラブルにより、配信を行うことができませんでした。
以下のURLにて、録画したセミナーの模様の視聴が可能です。
https://www.youtube.com/watch?v=zRwwuP5oZVI